AACoRE > Projects > LingDy
ILCAA

研究会

チベット語文語文法記述研究会

概要

本研究会は、古い文献に残されたチベット語を、言語使用の積み重ねによる言語変化の一過程にあるものととらえ、現代チベット語がなぜ現在のような形をしているのか、その形成過程をとらえようという目的のもとに発足しました。この目的を達成するために、『王統明示鏡(rgyal rabs gsal ba'i me long)』を主な研究材料とし、言語使用の実態を調査し、文法を記述していきます。一般的なイメージにある固定した伝統文法というとらえ方ではなく、フィールドワークの手法を援用することで、実際の言語使用の実態を精査する方針でプロジェクトを進める予定です。

メンバー

  • 星 泉(研究代表者、東京外大AA研)
  • 今枝由郎(仏CNRS研究ディレクター、京都産業大学非常勤講師、元AA研客員教授)
  • 海老原志穂(清泉女子大学非常勤講師、AA研共同研究員)

2010年度研究会実施記録

本研究会は2009年7月に準備会議を実施し、2009年10月からLingDyの研究会として正式に認められました。10月から2月まで、毎週会合を開き、文法記述を進め、格助詞、接続助詞、動詞形態論に関する考察を深めることができました。今年度も引き続き、研究会を実施し、文法書の完成を目指します。

第1回研究会

  • 日時:2010年4月14日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研コモンルーム
  • 内容:チベット語の動詞の種類と基本的な構文パターンを整理しました。また、チベット語文語における「文」とは何か、という点について議論を深めました。

第2回研究会

  • 日時:2010年4月21日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研コモンルーム
  • 内容:格助詞の機能について、昨年度の分析に基づき、文法書に掲載する形式で整理したものを全員で議論しました。

第3回研究会

  • 日時:2010年4月28日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研コモンルーム
  • 内容:動詞の形態とアスペクト、ヴォイスの問題を整理し、星の主張である、未完了体においてみられる二つの形態(能動形と所動形)が、意志的他動詞にのみ存在すること、また、所動形の用法が14世紀の文献においてすでに極めて限定的であることを、用例を見ながら確認しました。

第4回研究会

  • 日時:2010年6月16日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研コモンルーム
  • 内容:チベット語文語における修飾構造および修飾要素をテーマに星が発表し、特に形容詞的な語についての議論を行った。チベット語文語においてはいわゆる「形容詞」は名詞類の下位範疇に過ぎず、名詞に対立するものとして新たに立てる必要はないという結論に達した。文法書の記述では、星の提案に基づき「属性名詞」という名称を使用することになった。

第5回研究会

  • 日時:2010年6月23日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研コモンルーム
  • 内容:チベット語文語における修飾要素のうち数詞と限定詞(定・不定)および複数を表す様々な標識について星が報告し、議論を行った。

第6回研究会

  • 日時:2010年6月30日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研コモンルーム
  • 内容:チベット語文語の節連結の標識について星が報告し、議論を行った。

第7回研究会

  • 日時:2010年7月7日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研コモンルーム
  • 内容:『王統明示鏡』にあらわれる各種の助動詞について星が報告し、議論を行った。

第8回研究会

  • 日時:2010年7月14日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研コモンルーム
  • 内容:前週に引き続き、『王統明示鏡』にあらわれる各種の助動詞について星が報告し、議論を行った。

第9回研究会

  • 日時:2010年9月29日(水) 14:00--17:00(予定)
  • 場所:東京外大AA研コモンルーム
  • 内容:

2009年度研究会実施記録

本研究会は2009年7月に準備会議を実施し、2009年10月からLingDyの研究会として正式に認められました。10月から2月まで、毎週会合を開き、文法記述を進めました。

第1回研究会

  • 日時:2009年10月7日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研コモンルーム
  • 内容:研究会の進め方、および文法上の諸問題について話し合いました。

第2回研究会

  • 日時:2009年10月14日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研・コモンルーム
  • 内容:動詞分類に関する問題点、格標識に関する問題点を整理し、執筆担当を割り振りました。

第3回研究会

  • 日時:2009年10月28日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研・コモンルーム
  • 内容:助詞および存在動詞に関して、星、海老原がそれぞれ調査報告をしました。
  • 報告1:格助詞gis, la, ruに関する調査報告/星泉
  • 報告2:存在動詞yodおよび'dugに関する調査報告/星泉
  • 報告3:接続助詞gisに関する調査報告/海老原志穂

第4回研究会

  • 日時:2009年11月4日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研・コモンルーム
  • 内容:18世紀の文法家の動詞形態論について星が調査報告を行ったほか、格助詞および接続助詞に関して、星、海老原がそれぞれ調査結果を報告しました。
  • 報告1:18世紀のチベット人文法家スィトゥ(Si tu)の動詞形態論/星泉
  • 報告2:向格助詞la、到格助詞ruおよび位格助詞naに関する調査報告/星泉
  • 報告3:接続助詞gisに関する調査報告/海老原志穂

第5回研究会

  • 日時:2009年11月11日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研・コモンルーム
  • 内容:格助詞および接続助詞に関して、星、海老原がそれぞれ調査結果を報告しました。
  • 報告1:起格助詞nasおよび源格助詞lasに関する調査報告/星泉
  • 報告2:接続助詞giに関する調査報告/海老原志穂

第6回研究会

  • 日時:2009年11月17日(火) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研・コモンルーム
  • 内容:王統明示鏡に見られる節連結の機能とその周辺に関して、星が調査結果を報告しました。
  • 報告1:「重ね貼り」型の節連結について/星泉
  • 報告2:節連結の機能を持つ「V pa 助詞」の用法比較/星泉

第7回研究会

  • 日時:2009年11月25日(水) 10:00--13:00
  • 場所:東京外大AA研・304号室
  • 内容:前回に引き続き、節連結に関連する調査報告を星が行い、接続助詞に関する調査報告を海老原が行いました。この回から、AA研研究生でチベット人留学生ツェジワンモが参加することになりました。
  • 報告1:節連結の機能を持つ「V pa 助詞」の用法比較(続き)/星泉
  • 報告2:接続助詞 mod に関する調査報告/海老原志穂
  • 報告3:接続助詞 nas に関する調査報告/海老原志穂

第8回研究会

  • 日時:2009年12月3日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研・コモンルーム
  • 内容:海老原は前回の続きで接続助詞nasに関する調査報告を行いました。星は、複数の動詞が組み合わせて用いられる場合の様々なパターンを報告しました。今回は東京外国語大学大学院博士後期課程に留学中のチベット人留学生ドゥクタルジャがオブザーバ参加しました。
  • 報告1:接続助詞 nas に関する調査報告(続き)/海老原志穂
  • 報告2:各種の動詞連続の概観/星泉

第9回研究会

  • 日時:2009年12月16日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研・コモンルーム
  • 内容:チベット語文語文法の執筆に向けて、全体像の確認と構成の確認を行いました。研究会の成果は論文や研究書という形だけでなく、学習者向けの文法書という形でも発表したいと考えています。今回は主に学習書としての文法書はどうあるべきかについて議論し、執筆方針を固めました。また、今枝は、現在翻訳を進めているBacotの文法書について、その内容を紹介しました。Bacot文法はBacot自身がチベット人の伝統的な文法観をいかに本質的に深く理解していたかを示すものであり、その理解を徹底的に簡潔で洗練された極めてフランス的なやり方で記述したものであると指摘しました。年内の研究会はこれで終了です。来年は1月13日に再開する予定です。
  • 報告1:Jacques Bacotの文法書Grammaire du Tibétain Littéraireについて(1)/今枝由郎
  • 報告2:文法書の全体構成および目次案の検討/全員

第10回研究会

  • 日時:2009年1月13日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研・コモンルーム
  • 内容:チベット語文語文法の執筆方針を再検討し、John RockwellによるA Primer of Classical Literary Tibetanの日本語訳に着手する方針を固め、翻訳の分担も決定しました。また、これと並行して、おもに海老原と星による文法記述も引き続き進め、執筆に活かすことにしました。本プロジェクトの成果の一部として星が執筆した論文「14世紀チベット語文献『王統明示鏡』における存在動詞」についてのコメントと質疑応答もおこないました。

第11回研究会

  • 日時:2010年1月20日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研・コモンルーム
  • 内容:前週に決定した方針を再度検討し、翻訳ではなく、オリジナルのものを作るという当初の方針に戻りました。研究会としては『王統明示鏡』を言語の使用の現場(フィールド)とした文法記述を進め、これと並行して、文法の教科書作成を準備することにしました。

第12回研究会

  • 日時:2010年1月27日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研・コモンルーム
  • 内容:前週に定めた方針に従って、海老原が引き続き接続助詞に関する調査報告を行いました。また、今枝は、これまでに書かれた文法注釈書の歴史に関する報告を行い、また、スィトゥが執筆した文法注釈書の目次を整理し、動詞形態論に関する箇所の概略を解説しました。
  • 報告1:接続助詞 te に関する調査報告/海老原志穂
  • 報告2:チベット語文法注釈書の歴史概観とスィトゥによる文法注釈書の概要/今枝由郎

第13回研究会

  • 日時:2010年2月10日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研・コモンルーム
  • 内容:今枝は、スィトゥによる文法注釈書の動詞形態論に関わる箇所の翻訳を完成させ、その内容を報告しました。海老原は、接続助詞 pa dang に関する調査報告を行い、前件と後件の主語が異なる場合がほとんどであることなどを指摘し、日本語の「〜すると」の「と」と機能の点でよく似ていることを報告しました。また、星は、チベット語文語文法の新しい章立て案を提案し、執筆状況を報告しました。今枝報告とも併せて、動詞形態論の扱い方について議論を深めました。
  • 報告1:スィトゥ『大註』について--bdag/gzhan、bya byed las gsum, dus gsumに関する『性入法』の註釈部分を中心に--
  • 報告2:接続助詞 pa dang に関する調査報告/海老原志穂
  • 報告3:チベット語文法教科書執筆経過報告および動詞形態論(とくに現在形、過去形、未来形について)

第14回研究会

  • 日時:2010年2月7日(水) 14:00--17:00
  • 場所:東京外大AA研・コモンルーム
  • 内容: